論文マニュアル(書評)

前回,論述することを学生に教える難しさについて述べたが,
ここで書評.
 
新潟大学山内志朗先生が執筆された,
「ぎりぎり合格への論文マニュアル」
という本を読んだ.
 
タイトルだけから内容を想像すると,裏技系の本みたいな
印象を受けるが,まじめな意味でとても勉強になった.
(しかも面白かった)
 
私自身,情報工学の分野でいくつか論文というものを書いて
きたが,この本を読んで,表記法の原則や,基本的な作法と
いったことに関して無知な点が多いことに気づいた.
 
研究内容そのものは自分で考えたものであっても,論文の
執筆作法や取り組み姿勢といったことに関しては,先人の
論文を慣例として猿真似している点が意外に多い.
 
著者の山内先生は文系(哲学)の方らしく,理系の分野での
論文執筆とは事情が異なる点も多いが,「学術的生産物」
としての論文を作成するための基本的な作法と心得がよく
まとめられ,わかりやすく述べられている.
しかも,大胆にもコミカルな表現を基本として本が出来上
がっているので,読んでいて楽しかった.
(ときどき笑ってしまった.)
 
この本は特に,卒業論文から修士論文の作成までにとても
役に立つと思う.
 
学生にお勧めの一冊である.

ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)

ぎりぎり合格への論文マニュアル (平凡社新書)