進路相談

最近,数名の学生から卒業後の進路について
相談を受けている.
 
進路の相談を持ちかけてくるわけだから,
その学生たちというのは,自分の将来について
真面目に考える気があるわけである.
 
非常に良いことだと思っている.
 
相談にくる学生のうち,ある3名が非常に
特徴的である.
 
まず1人目.
話によると,当人は剣道の達人で,
各種大会でも軒並み優秀な成績を
おさめているらしい.
 
そこで,希望する職業も「警察官」.
当人曰く,学力の方はあまり自身がないとの
ことだが,私の見る限り,将来が最も有望な
部類の人間だと思う.
 
その学生だが,全く迷いが無い.
とにかく,決断を確実にしながら,
まっすぐ進んで行くタイプの人間である.
 
たとえ警察官になれなかったとしても,
その学生は必ず「何者か」になれると
私は信じている.(今の若者にしては珍しい.)
 
次に2人目.
私の勤める大学にはふさわしくないくらいの
学力の持ち主.
 
ちょっと悪い言葉を許してもらえるなら,
「なぜうちの大学に?」
という感じの学生.
 
外国語もそこそこの能力だし,
会話をしても,かなりのレベルであることが
うかがい知れる.
 
その学生と会話していると,自分の学歴選択を
少し間違えたかのような後悔を時々見せる.
 
その学生は短大の学生であり,
卒業後は他大学への編入を志向しているようである.
 
ただ,「将来何になりたいか」という点については,
決断にいささかやぶさかである.
 
最後に3人目.
私の見る限り「普通の人」.
 
とにかく,毎日を楽しく過ごしたい
というタイプの人間だと私は思う.
 
当人と会話をしていても,快活で楽しい.
 
ただ,ちょっと問題ありという感じである.
人間性や学力に問題があるというわけではない.
 
とにかく「決断から逃げ回る」のだ.
といっても,極めて今風の学生であり,
その意味では,本当に「普通の人」なのだ.
 
将来つく職種の案として,こちらの思いつく限りの
選択肢を挙げても,とにかくどれも「嫌がる」.
 
私も,キャリアプランニングの専門家でもないし,
その学生の心情を害するのも不本意だというので,
こちらの考えを強制することはしない.
 

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 私の持論.
「自分探しはしてはいけない」
「自分づくりに専念すべき」
 
上に挙げた最初のタイプの学生と,後の2人の
タイプの学生が決定的に違うのはこの点だと思う.
 
後の2人のタイプの学生については,
不安が残る.
 
2番目の学生については,学力を伸ばしてゆけば
何かまた新たな選択肢が見つかるかもしれないが,
一旦,受験地獄が終わった後なので,安きに流れてしまう
可能性が大きい.
 
3番目の学生については,
もうほとんど選択肢はないように私には思える.
 
そういうタイプの人は,卒業後の数年間,OLか何かを
やり,その語,結婚して家庭に入るというパターン
しかないと思うがどうだろう.
(悪くすると,ニートやフリーターとなる.)
 
もちろん,幸せな結婚生活を手に入れてくれれば
喜ばしい限りであるが...
 
学生が全員,1人目のパターンの人間を目指す
必要もないと思うが,しかし私の考えは変わらない.
 
「選択をせよ.」
「決断をせよ.」
「自分作りに励め.」
「安息を求めてはいけない.」
 
覚悟を決めれば,高品質の人生を楽しめると思う.
 
何か能力を身に付ければ,進路は必然的に
決定されるものである.
 
最後にまた言いたい.
 
「自分探しはしてはいけない.」