書評
夏休みに入って授業がしばらく無い。
この期間には、研究活動と後期の準備を行う。
そして仕事の合間に色々と読書をしている。
今回特に印象に残った2冊の本があるが、
どちらも話題の本である。
1つは、藤原正彦先生の「国家の品格」。
この本は、「合理性」と「美意識」の相反する
部分をうまく書いてある。
アメリカ型資本主義の限界と、日本古来の
美徳や美意識の大切さを体系的に眺める
のに良い本だと思うし、読んでいて納得する
部分が多い。
戦後にアメリカから持ち込まれた価値観に
染まってしまい、失われた日本人の価値観と
いうものがどのようなものかを説いている。
「自分がなぜ日本人なのか」を考えるのに
とても参考になる本だと思う。
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もう1冊は速水敏彦先生の
「他人を見下す若者たち」。
副題は
「自分以外はバカ」の時代!
この本、ちょっと大きめの帯がかかっており、
その帯に現代の若者を風刺する漫画が
書かれていて面白い。
表紙から受ける印象は、「風刺本」や
「こきおろし本」という感じであるが、
中身は全然違う。
心理学の立場で学術的調査を行いながら
分析と検証を行い、その過程で若者特有の
自己愛やエゴイズムを明確に浮き彫りに
している。
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今回挙げた2冊の本は、立場や論点こそ
違うが、「おかしくなりつつある人間と社会」
というものを描き出している。
「国家の品格」はマクロな立場から、
「他人を見下す若者たち」は心理学という
ミクロな視点から、現代日本の人間と社会の
問題点を明らかにしようとしている。
どちらも読んでいて楽しい本なので、
2冊一組で人に勧めている。