生涯学習の時代

今日,久しぶりに年齢の近い人と昔話をした.
「コンピュータを作る」ということに関して今昔雑談.
 
20年くらい前までは,「コンピュータを作る」といえば,
半田ごてを握ってICや各種アナログ系部品を
基盤にハンダ付けする作業を意味していた.
各種ICの電気的特性を配慮しながら回路を設計し,
基盤のパターンを作成してバラバラの部品をハンダ付けする.
多層の基盤を自分では作ることができず,
「ラッピング」と呼ばれる配線の取り回しに目が回る.
 
今では,既製の各種基盤をマザーボード
差し込んでゆくだけ.
電子工学の知識を全く必要としない.
まるでプラモデルを作る感覚だ.
(というか,プラモの方が遥かに面倒である.)
 
時代は変わってしまったものだと改めて認識した.
 
今日お話をした相手というのも
コンピュータが大好きな人で,それが高じて
職を点々とし,結構ややこしい人生を歩んで来たようだ.
私も同様だが,極度のコンピュータ好きというのは
ちょっと変わった人生を送ってしまうような気がする.
 
私とその人の共通点として,
自分で独立経営する意思が無いという点があった.
コンピュータのテクノロジーという側面だけが好きで,
ビジネスのマネージメント(経営)ということには
全く興味が無い.
 
そう言ってしまうと,覇気の無さを非難されそうである.
実際に私も何人もの人から説教や嘆きをいただいたものだ.
 「せっかくコンピュータを勉強したのに
   ビジネスに生かそうとしない」
 「ただのオタクじゃないか」
と言いたい訳であろう.(理解できない訳ではない.)
 
ただ,ビジネスマネージメントに関しても昔と比べて
随分と事情は変わってきていると私は思う.
昔は「人付き合い」「人望」「度胸」「バイタリティー
みたいなものだけで,かなり経営ができていたのだろうけれど,
今もそうなのか?
 
今では経営者になるためにはMBAを取得したりと,かなり
専門的な学習が必要なのではないか.
「法律」「経済」「管理」といったことを
体系的に学ぶことがビジネスの基本になっていると思う.
そういう意味では「経営」も今と昔では
かなり違ってきていると私は考えている.
 
そう考えると,うまくビジネスを展開するには
専門領域の知識+経営のための体系的知識
というものが必要となって,一生かかって勉強しないと
やっていけない時代になるような気がする.
 
生涯学習」という言葉はまだ,「暇つぶしの教養」
というイメージが強い気がするが,
本当はもっと「命がけの勉強ライフ」という感じではないか.
という気がする.
 
知識や資格を求めて,高い学費を払い続ける.
そんな時代になるのかも知れない.