のんびり学問のススメ

自分の人生を振り返って、
ちょっと無責任な発言に挑んでみる。
 
学問の基礎を、大学のたった4年間で学ぶのは難しい。
また、大学の授業だけで学問の本質が学べるとは
とても思えない。
そして、4年の間、自学自習に励んでも、
自分にぴったり合った学術リソースに
出会えるとは限らない。
 
ここで言う「学術リソース」とは
書物、論文、指導者全般を指す。
 
モチベーションだけがいくら高くても、
学部の4年間、更に修士課程の2年間を加えたとしても、
たったそれだけの時間で学問が身につくとは思えない。
 

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私は学部を卒業して就職してからも、
研究活動というものに対する未練から、
代数学解析学、論理学などの教科書を傍らに置いていた。
 
試験があるわけでもなく、
時間的制限のまったく無い環境で、自分の時間でのんびりと、
ただ、だらしなく教科書や文献を読んだり、問題を解いたり、
シミュレーションプログラムを書いたりしていた。
それも10年くらいに渡ってである。
 
また、学部時代に英語が身につかなかったのが悔しくて、
結構ハードに英語のトレーニングを積んだ。
 
当時は事務系の仕事についていたので、
自由な時間もあり、そんな生活を送っていたが、
やっぱりというか、それが祟って、
職場では完全に浮いてしまうという状況に至った。
気がつけば末期的状況だった。
 
考えたり教えたりするのは好きだったので、
ちゃんと研究者の道に進もうと思い立って、
仕事を変えて、大学院を受験した。
30代も後半に入ってである。
 
大きな経済的リスクを背負うことになるので、
家族をはじめ、周囲の人間からは大反対を食らったが、
とにかく、私の人生はそれしかないと思った。
(かなり強引に)
 
長い間「お勉強」していたせいか、
大学院受験でも難はなく、入学後の研究活動においても
特に壁は無かった。 ただ、経済的にはものすごい冒険に
出たわけだが....
 

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昨今、ニートやフリーターが増え、社会問題になっている。
彼らは社会に参加する気が無いらしい。
 
真剣に社会に適応して仕事に取り組むというのは、
社会生活を送るための前提条件なのだが、
ほとんどの人は、自ら進んで仕事に励んでいるわけではない。
悪く言えば、生活費獲得のための、
「仕事の奴隷」に身を落としているわけである。
 
過労死、家庭崩壊、リストラ、自殺....
本当に暗い....
 
若者たちが、そんな地獄に身を投じるのを嫌がるのも
理解できる。
 
よく考えてみたら、社会に真剣に参加せずに、
自分の好きなことに熱中していたという意味では、
私もニートやフリーターといった類の人間と
同じ姿勢で生きていたように思う。
 
そんないきさつもあって、私は学生たちに
「学問しない?」
「一緒にお勉強しよ〜よ」
という態度に出ている。
 
このニートやフリーターの時代に、
学術活動はぴったり合っていると思うのだが....
 
生涯学習」というのが時代のキーワードになっている。
のんびり学問はいかがかな?(しかも真剣に)