学生からの素朴な疑問

少し前,TVで教育関連の討論みたいなことを
やっている番組を見た.
 
その中で,子供から出た質問
 
「どうして人を殺してはいけないの?」
 
答える側の大人たちが返答に窮していた.
 
大人が子供に対して高圧的にふんぞり返って
いられた時代では,そんな質問は怒鳴り声とともに
一蹴されただろう.
 
「そんな質問をするお前はなんてやつだ!」
 
で終わりであろう.
 
実は私も子供の頃は,大人を困らせる類の質問を
連発し,よく叱られたものである.
 
そんなときに子供は理不尽に思ったり,
くやしい思いをするものである.
 
思うのだが,「常識」というものを子供に押し付ける場合,
ある程度は大人の側も説得の用意をすべきだと私は思う.
 
大人の社会における「説明責任」とは意味が違うが,
全く説得力のないまま高圧的態度に出る大人も
また不甲斐ないものだと思う.
 
上に挙げたような質問が子供からでたら,
それは,「生命の尊厳」,「愛」,「美徳」などについて
語り聞かせる良い機会のはずである.
 

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実は先日,私の研究室に学生が数名やってきて
進路決定に関する相談をした.
 
そのときに学生から出た質問
 
「就職するってどういうこと?」
「社会に出ることの意味は?」
 
当然ながら,完全な答えを即答できるわけでは
なかったが,その瞬間は「ひるまない態度」で
受け答えた.
 
私は日ごろ,私の側の準備や能力に関わらず,
とりあえずは「ひるまない態度」をとるようにしている.
その質問の直後も,いささかまことしやかな態度ではあるが,
 
「はい,いい質問ですね.」
(以後,もっともらしい説明....)
 
みたいな対応をした.
そして後日,同じ学生と「将来の夢」みたいなことを
話し合った.
 
結局,こちらから伝えたいことは,
「経済的自立」,
「社会に参加して社会を維持する責任」,
自己実現の意義深さ」
であり,それらを会話の行間にこめながら,
将来の夢について話し合った.
 
楽ではないが,先人の後続者に対する責任だと思う.