大学の改革の難しさ(3)

大学の業務は教育と研究であり,
主たる仕事を行うのは教員である.
したがって,業務の内容そのものを設計して
遂行するのは教員であり,
教員は「大学運営の主役」である.
 
もちろん経営体としての大学を運営するには
教員の仕事を裏方で支える大学職員の存在が
重要である.
 
というわけで,どこの大学組織も,
「教員」と「職員」という二重構造になっている.
 
ここで問題となるのが,
「大学経営の舵をとるのは誰か?」
ということである.
 
教員が専門領域でどれだけ能力が優れていようと
組織の運営と経営ができるとは限らない.
というか,普通の場合,教員にはそんな能力はない.
 
そして,多くの大学で教員が支配的存在である.
なんとも危うい....
 
そんなわけで,「教学系業務」と「大学経営」
を切り離して,しっかりとした経営体制の下で
専門職としての教員が雇われている形態でないと
いけないと思うが,これを実現するのがなかなか
難しい.
 
大学職員が「主導的経営スタッフ」となることを
多くの教員が快く思わないし,また専門的な研究分野
のことを一般的な経営スタッフが理解することも
ほとんど不可能である.
 
そのような状況で,経営能力のない教員たちが
事務職員を足蹴にしているという組織体質が
多くの大学でまかり通っているようである.
 
どのような人材を経営スタッフとして集めるか,
そして大学業務の役割をどうやって決めるか
とても難しい問題である.
 
素朴に考えると,大学職員といえば
「事務作業員」としてのみ認知される.
本当はそうではないし,
そうであってはいけないのだが....