布施明「少年よ」(仮面ライダー響鬼)

 私は日曜日の朝は子供と一緒に「仮面ライダー響鬼」を見ている,
私自身も子供の頃に「仮面ライダー」を見て育った世代であり,
懐かしさ半分で子供と一緒にこの番組を見ている.
 
この番組の主題歌を歌っているのが布施明で,少し前までの
この番組の主題歌「少年よ」がかなりヒットしたと聞いている.
 
私も若い世代の人たちにものを教える仕事についている関係上
若者がどのような心境で人生をみているのかということについて
は少々気になるわけだが,この「仮面ライダー響鬼」というのが
今の若い人の生き方を描いているように思う.
 
ストーリーの内容は至って単純で,悪の組織が魔物を世に放ち,
それを仮面ライダー達がやっつけるという,いつものパターンで
ある.
 
このストーリーの中で,主人公の1人である安達明日夢という
少年の生き方が,今の若い人を象徴しているように思う.
この少年は,「響鬼」と呼ばれるライダーの戦いを目の当たり
にしてから,なにかと響鬼の周りで過ごすようになる.
 
番組の中では,仮面ライダーたちは「鬼」と呼ばれており,
鬼たちは代々,弟子をとって跡継ぎを育てている.それで
その明日夢君は鬼の弟子になるのかというとそうではない
のだ,それも鬼に弟子入りする他の若者たちをよそ目に.
 
ときどき,意地の悪いクラスメートに意思の不明瞭さを非難
されたり,軟弱さにケチをつけられたりしても,決まって
返す言葉が,
「別にそういうわけじゃ〜....」とか,
「そんなんじゃないけど...」
である.
 
このストーリーの中で,鬼の弟子になる若者たちは,個別に
事情があり,激しい修行を積んで鬼になることを目指している.
でも明日夢君はというと,相変わらず「そういうわけじゃ〜...」
しか言わない.
 
つまり,人生の選択をせずに,ただ迷い続けるというのが
明日夢君の基本スタンスであり,この番組は明日夢君を若者の
象徴としているように見える.
 
鬼になることを決めれば,厳しい修行をしなければならない
わけであるが,それを嫌がっているようにも見える.しかし
不明瞭な憧れみたいなものがあって,なんとなく響鬼の周辺で
過ごしている,そんな風に見えるわけである.
 
番組の中では,明日夢君は,「迷える罪なき若者」という
人物像であるが,人生においては「選択」ということが非常に
重要であるということを,番組を見ている若い人は
仮面ライダー響鬼」から学んでほしいものだ.